京都自転車日記

夏目漱石に「自転車日記」という小文があります。畏れ多いと自覚しつつブログのタイトルに拝借しました。京都市街は東西にも南北にも約10Km、自転車サイズの街です。美しい山々が街を囲み、その向こうには趣きのある山里や山寺が点在し、サイクリングコースに事欠くことはありません。 恵まれた環境が独特の自転車文化を育み、個性的な自転車屋さんや自転車愛好家が集まるお店がたくさんあります。 そんな京都の自転車事情を全国の自転車愛好家に紹介できたら良いな、と思っています。

新車購入編その14 - ホイール発注

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ブレーキと一緒に126mmのフリーホイール用ハブも到着したので、すでに届いていたフロントハブと合わせて、もうホイールが組める! ホイールを組んでタイヤもはめて、飾っておけば気分も盛り上がるだろうと思い、ホイールを発注してきました。

タイヤを700c x 33.333のJack Brownと決めているので、リムも幅の広いもの。まずは、MAVICのA719やA319などを考えてみましたが、A719は黒しかないので却下。

A319はスチームローラーで使っていて、悪くないのですが、重い(その分、剛性も高く丈夫ですが)。固定ギアの場合、重いホイールもそれはそれで楽しいのですが、新しい自転車にはちょっと違う。本格的なツーリングバイクなら、頑丈であればあるほど良いのでしょうが、日帰りツーリングバイクなんで……

軽いのがあれば軽いほうが良いかな? ということでVelocityのDyadを候補にあげました。無我さんに「どうでしょう?」と相談してみたら「良いんじゃないですか」ということで、さっそく発注。

したのですが、残念なことに代理店に在庫切れ。しばらく待つことになります。とはいえ、フレームはまだまだなんだし、まぁ、待ちましょう。

新車購入編その13 - ブレーキ

Grand Cru Long Reach Brakeset

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新しい自転車のタイヤは、Jack Brown(700c x 33.333)と決めているので(これだけは最初からブレてません)一般的なショートリーチのサイドプル・キャリパーブレーキが使えません。

ランドナーなどに使われる、カンチブレーキやセンタープルブレーキにするか、スタンダードリーチ(いわゆるロングリーチ)のサイドプル・キャリパーブレーキにするか。

6速にするからといって、クラシックバイクにしたいわけではないので、現代の自転車として標準的な、サイドプル・キャリパーブレーキのほうが良いかな~、とは思うものの……

スチームローラーにはシマノのBR-R650という(いちおう上級グレードの)スタンダードリーチのサイドプル・キャリパーブレーキを付けているのですが、いささか頼りない。

もっと良いのはないのか、と思ってググってみたらコンパス・バイシクルズのブログで絶賛されている製品を発見*1。「おやVolo ORANGEのブレーキはそんなに良いのですか」「じゃぁブレーキもVolo ORANGEに揃えちゃいますか」となり、

とりあえずスチームローラーのブレーキをこれに交換し、問題なければ、新しい自転車にも使うことにしました。

Volo ORANGEの製品にしては高価なので、仕上げはどうかな? と期待していたのですが……

光の加減によって見えてしまうドリルの軌跡から「CNC切削で仕上げているんだなぁ」とわかったり、ハンド・ポリッシュドだということが嘘でないとわかる手仕事感あふれる磨き方だったり(笑)はしますが、金属部分の仕上げは、クランクセットよりずっといい感じ。

ただ、プラスチック部品がなぁ…… なんとかならないのかなぁ…… $170もするんだからさぁ……

まぁまぁ、大事なのは性能。早くスチームローラーに付けたい。

*1:テストバイクが竹フレームでも有名なカルフィーのバイク。そんな高級車に使われるってことは良いブレーキなんでしょう。

昭和は遠く……

学生時代に学校が市内の東山七条から郊外の桂に移転し、電車(市電!)通学からバイク(モーターサイクル)通学に切り替えたのがきっかけでどんどんのめりこみ、モトクロスやトライアルに夢中になっていた時期があります。

大学を卒業したころ、仲間の誰かが自転車ロードレースを始めたのをきっかけに、モトクロス仲間のあいだでロードレースが流行り、僕も自転車を手に入れてロードレースに挑んだことがあります。

今回、リア6速でフリクションシフトと考えているのは、ひとつには「変速って、あの頃ので何の不自由もなかったよなぁ」という気持ちがあります。あの頃、80年代前半、僕にとってはつい昨日のように思うこともあるのですが……

Flickrに「CLASSIC LIGHTWEIGHT STEEL BICYCLES」というグループがあって「classic」の定義が「from the 30's to 1990」。う~ん、昭和は遠く……

www.flickr.com

My Path Racer - Surly Steamroller

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良い天気だなぁ、グランフォンド京都に参加した知人はもうゴールしたかなぁ、などなど思いながら、どこへ行くとも考えずにスチームローラーのペダルを回してきました。何年か前には、このスチームローラーで僕もグランフォンド京都を完走しました。

以前のサーリーのサイトに「スチームローラーは進む道のりをすべて平らにしてしまう…… このスチームローラーでこぎ出した瞬間から、あなたはとめどなくペダルを回し続け、幸福感、充実感に浸ることになるでしょう」というようなことが書いてあったのですが、ホントその通りです。

僕のスチームローラーは、33.333cという太いタイヤを履いていて(こんなタイヤが履けるのも、スチームローラーの美点です)、ハンドルはラウターワッサー・バー、エドワード朝の「Path Racer」と言った趣です。

ねらってこうなったのではなく、3本のフレームといくつかのホイール、数え切れないほどのハンドルバーやタイヤを、とっかえひっかえ、あ~でもない、こ~でもない、とやって、このスタイルに落ち着きました。

「Path Racer」というスタイルはあとで知ったので、何も知らずあれこれ試した結果が、オールドファッションドなスタイルにたどり着いたというのが面白い、と思っています。

新車購入編その12 - デザイン着手!デザイン開発依頼書最終案

さっき空井戸サイクルに寄ったら「そろそろ図面にかかります」と聞いたので、家に取って返して、前にデザイン開発依頼書を渡してから気が変わったところ(すみませんw)をまとめてあったデザイン開発依頼書の最終案をプリントして届けてきました。

イメージがかなり固まってきたので、もうぶれることはないと思います。あ~、楽しみだ~ :-)

デザイン開発依頼書(最終案)

用途、カテゴリ

  • Long distance road cycling(長距離を楽に)
  • ≠ randonneuring(1000kmも2000kmも乗るような馬鹿はしない)
  • ≠ bike-touring(日帰りしかしない)
  • 50km~160kmの半日~日帰りサイクリング
  • フェンダーもラックも付けないツーリングバイク

コンセプトキーワード

  • Gran Fondo
  • Simple
  • Basic
  • 80’s

フレーム仕様

  • リム幅24mm(18.6mm)
  • タイヤ:700c×33.333
  • エンド幅126mm(6速)
  • キャリパーブレーキ(reach:47-57mm)台座
  • スレッドステム
  • Wレバー台座
  • ボトルケージマウント(ダウンチューブに1つ)

新車購入編その11 - なぜ Velo ORANGE を選んだのか

昨日は、新しい自転車のコンポーネンツに「なぜ Velo ORANGE を選んだのか」を書いておこう(そのうち絶対に忘れてしまうから)と思って書き始めたのに…… 話、違いすぎだろ!

5速~7速で考えたときに、ハブやスプロケットについては、いくつかの選択肢があります。

5速

  1. グランボア、あるいはサンエクシードの120mmフリーハブに、グランボアの5速カセットスプロケット*1
  2. Velo ORANGE、あるいはヨシガイ(ENE CICLO) の126mmフリーホイール用ハブに、むりやり*2、5速のフリーホイールスプロケット

6速

  1. グランボア、あるいはサンエクシードの126mmフリーハブに、グランボアの6速カセットスプロケット*3
  2. グランボア、あるいはサンエクシードなどの130mmフリーハブに、むりやり*4、6速カセットスプロケット
  3. Velo ORANGE か、ヨシガイの126mmフリーホイール用ハブに、6速のフリーホイールスプロケット
  4. Velo ORANGE か、ヨシガイの130mmフリーホイール用ハブに、むりやり 6速のフリーホイールスプロケット

7速

  1. グランボア、あるいはサンエクシードの126mmフリーハブに、7速カセットスプロケット
  2. グランボア、あるいはサンエクシードの130mmフリーハブに、7速のカセットスプロケット
  3. Velo ORANGE か、ヨシガイの126mmフリーホイール用ハブに、7速のフリーホイールスプロケット
  4. Velo ORANGE か、ヨシガイの130mmフリーホイール用ハブに、7速のフリーホイールスプロケット

5速は(僕にとっては)ちょっとキツイ。もう1枚は欲しい。ということで早い段階であきらめました。でも、120mmエンド5速のロードバイクに例のDURA-ACEなんて、カッコいいなぁ、と今でも憧れます。

80年代、6速の時代には、まだカセットスプロケットはありませんでした。僕がそのころ持っていたロードバイクも、6速でフリーホイールスプロケットでした。6速か7速か迷っていましたが、6速にするならフリーホイールスプロケットを使いたいと思いました。

そうなると、6速の 3. か 4. 7速の 3. か 4. つまり Velo ORANGE か、ヨシガイ(ENE)のフリーホイール用ハブ(の126mmか130mm)になります。

このふたつって、もしかしたら同じ(台湾の)工場で作ってる、つまり同じ物なんじゃないかとも思います。なので、どちらでも良かったのですが……

これらのハブ(ツーリングバイク用)に似合って、僕の欲しいインナー32Tとか30T(これもツーリングバイク用ですね)が使えるクランクセットを探すと

  1. ルネ・エルスのクランクセット
  2. Compass Bicycles のクランクセット
  3. サンエクシードのクランクにTAのチェーンリング
  4. サンエクシードのクランクサンエクシードのチェーンリング
  5. Velo ORANGE の 50.4 BCD Crankset

などが見つかったのですが、1と2は「高価すぎるかも?」と言うことで却下。魅力的な写真と熱のこもった商品説明に釣られて 5. を選びました。届いたのを見て「サンエクシードにしておけば良かったかなぁ」と思わないでも……

サンエクシードなら、わざわざ海外から取り寄せずとも、空井戸サイクルで取り寄せてもらえたかもしれないし、I's BICYCLE に行けばすぐに買えたのに……

175mmと、少し長めのクランク長にしたかった(サンエクシードのは172.5mmまでしかないし、ルネエルスの177mmはさすがに長すぎるかも)っていう言い訳もあるんですけどね。

と言うことで、クランクセットが Velo ORANGE になったので、ハブも Velo ORANGE で揃えようと。ハンドルは、同じような形が日東などにもあると思うのですが、センターセンターで44cmと大きなサイズ(日東にはなかなかない)があったので Velo ORANGE のものにしました。

まぁ、なんだかんだ言っても Velo ORANGE の考え方や目指すところは好きだし。

ブレーキについてはまた後日。

*1:7速カセットスプロケットをばらしてスペーサーを入れたもの

*2:「むりやり」って言っても強引に押し込むわけじゃなく、逆にスペースが余るだけのことなので、それほど問題はありません。

*3:7速カセットスプロケットの1枚を抜いたものなのでスプロケットピッチは7速と同じ

*4:130mmにしておけば、あとで現代のコンポーネントに変えられるというメリットがあります。

新車購入編その10 - Velo ORANGE(東海岸のFlame, Components Manufacturer)

新しい自転車は、ハンドル、クランクセット、前後ハブ、ブレーキ、に「Velo ORANGE」という(ファブレス)メーカーのパーツを使います。コンポーネントって言っても良いくらいですね。

その「Velo ORANGE」ですが、はじめはてっきりカリフォルニアかどこか、西海岸にあると思ってました。実はアナポリスにありました。

ウェブサイトやブログを読んで「フランスかぶれっぽいところなどは西海岸と違うかなぁ?」と思ったり…… 東海岸のバイク・カルチャーってどんな感じなんでしょうね? NYCのメッセンジャーなどは良く紹介されますが、アナポリスって言われても海軍兵学校くらいしか思い浮かびません(笑)

米国のバイク・カルチャーと言えばサンフランシスコ・ベイエリアなどの西海岸を思い浮かべませんか?

ベイエリアには、日本でも良く知られる「MASH」のようなショップや、「Soma」や「Rivendell」のようなクールな自転車を作る(ファブレス)メーカーがあり、サンフランシスコ郊外には「White Industries」や、少し離れるみたいだけど「Paul」などのパーツメーカーもある。

ほかにもカリフォルニアには「Selle Anatomica」や「Phil Wood」があり、「Ritchey」がネバダ、「Chris King」や「PDW」のあるポートランドオレゴン、シアトルには「Compass Bicycles」……

でも考えてみれば東海岸には東海岸のバイク・カルチャーがあっておかしくない。っていうか、あって当然(東海岸の人に失礼ですね)。

今はすっかり放置しているはてなダイアリー、で志賀直哉の「自転車」という随筆について書いたとき、志賀直哉の乗っていた自転車がどんなのか知りたくなってググって探したことがあります。

志賀直哉の自転車は特定できませんでしたが、明治の頃、特に1890年代の米国は「bicycle craze」と言われる自転車ブームに沸き、英国やフランスを凌ぐ自転車大国だったということを知りました。

志賀直哉の自転車は、これじゃないかなぁ?」と思う自転車がふたつあります。ひとつが「Columbia Bicycle」と言う自転車で、もうひとつが「Victor "Flyer"」と言う自転車です。

「Columbia Bicycle」を作っていた「Pope Manufacturing Company」は1878年に、「Victor "Flyer"」を作っていた「Overman Wheel Company」は1882年に、ともにマサチューセッツで創業しています。また「bicycle craze」さなかの1895年には、かの「Schwinn」がシカゴで創業しています。

今も、マサチューセッツ州の隣のコネチカット州には「cannondale」が、シカゴ(イリノイ)の隣のウィスコンシンには「Trek」が、その隣のミネソタには「Surly」や「Salsa」の「QBP」などがあるので、バイクカルチャーは地域ごとに根付いているとして、バイク「ビジネス」の中心は、やはり東海岸やグレートレイクス周辺なのかもしれませんね。