京都自転車日記

夏目漱石に「自転車日記」という小文があります。畏れ多いと自覚しつつブログのタイトルに拝借しました。京都市街は東西にも南北にも約10Km、自転車サイズの街です。美しい山々が街を囲み、その向こうには趣きのある山里や山寺が点在し、サイクリングコースに事欠くことはありません。 恵まれた環境が独特の自転車文化を育み、個性的な自転車屋さんや自転車愛好家が集まるお店がたくさんあります。 そんな京都の自転車事情を全国の自転車愛好家に紹介できたら良いな、と思っています。

コモディティ化の功罪

もう50年近く昔の話。はじめての自転車は従兄弟のおさがりでした。

ブリティッシュグリーンのフレームに、同じ色の「鉄の」フェンダーやチェーンカバーがついていました。小学校の5~6年生になるまでは、たしか乗っていたので、従兄弟が買ってもらったときから数えると20年近く使ったはずです。それでも自転車が壊れた記憶がありません。メッキ部分に少し錆が浮くようなことはありましたが、錆だらけになるようなこともありませんでした。

自転車は今よりはよほど高価ものでしたが、そのぶん品物も良かったのでしょう。また高価なものだけに大切にもしていました。親からも口うるさく言われて、外に出しっぱなしにするようなこともなかったし、雨に濡れた後はちゃんと拭いていました。身の回りの整理整頓や掃除は大の苦手なのに、今でも自転車だけは綺麗にしておけるのも当時身につけた習慣のおかげかもしれません。

今、量販店に行くと子供用自転車は(大人用自転車もですが…)1万円代から売っています。安いこと自体は悪いことではないのかもしれません。でも雨ざらしにされていたり乱暴に扱われている子供用自転車を見ると、それは拙いんじゃないかと思います。年寄りの僕の感覚では、自転車はもっと大切に扱うべきものであってほしい。

コモディティ化の功罪。自転車だけの問題でもないですが…