京都自転車日記

夏目漱石に「自転車日記」という小文があります。畏れ多いと自覚しつつブログのタイトルに拝借しました。京都市街は東西にも南北にも約10Km、自転車サイズの街です。美しい山々が街を囲み、その向こうには趣きのある山里や山寺が点在し、サイクリングコースに事欠くことはありません。 恵まれた環境が独特の自転車文化を育み、個性的な自転車屋さんや自転車愛好家が集まるお店がたくさんあります。 そんな京都の自転車事情を全国の自転車愛好家に紹介できたら良いな、と思っています。

杉坂 道風神社

今日は花背の畑を見に行き、オープン間近の「補陀落山荘」にも顔をだして… と考えていたのですが、みごとに朝寝坊。しかし貴重な梅雨の晴れ間です。自転車に乗らないのはもったいないと思い、雲ヶ畑から持越峠~杉坂~京見峠の90分コースを、今日は2時間かけてのんびり走って来ました。

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杉坂から京見峠への登り口に、書家として有名な小野道風を祭神とする「道風神社」があります。鳥居越しに見えた緑の、あまりの美しさに誘われて、久しぶりに参拝してゆくことにしました。

広々とした境内がとても美しい神社ですが、境内が広々としているのは、かつて此処に不動明王を祀る「明王寺」と言う寺があったためです。本殿の隣には今も明王堂があります。

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境内に小さな泉があり、この水を汲んで硯の水に用いると書道が上達するそうです。鳥居の手前には保津川にそそぐ清滝川の支流、杉坂川が流れています。

この辺りは水の豊かなところで、京見峠の近くには、多くの人が美味しい水を求めて汲みにくる湧き水もあります。京見峠の杉坂側は、雨の後など道路がいつまでも乾きません。

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豊かな水源近くに不動明王を祀るという図式は、尾根を隔てた隣、雲ヶ畑の岩屋山志明院(岩屋不動)や、少し離れますが安曇川支流の明王谷三の滝に不動明王が出現したという葛川明王院と同じです。面白い。

水源にはもともと神様が祀られていて、神仏習合の過程で不動明王に置き換わっていったものだと思います。葛川明王院の地主神は「しこぶちさん」ですが、ここの地主神は小野氏の氏神だったのですかね。

葛川明王院と「しこぶちさん」については白洲正子さんの「かくれ里」に紹介されています。興味のある方はぜひ。