京都自転車日記

夏目漱石に「自転車日記」という小文があります。畏れ多いと自覚しつつブログのタイトルに拝借しました。京都市街は東西にも南北にも約10Km、自転車サイズの街です。美しい山々が街を囲み、その向こうには趣きのある山里や山寺が点在し、サイクリングコースに事欠くことはありません。 恵まれた環境が独特の自転車文化を育み、個性的な自転車屋さんや自転車愛好家が集まるお店がたくさんあります。 そんな京都の自転車事情を全国の自転車愛好家に紹介できたら良いな、と思っています。

新車購入編その10 - Velo ORANGE(東海岸のFlame, Components Manufacturer)

新しい自転車は、ハンドル、クランクセット、前後ハブ、ブレーキ、に「Velo ORANGE」という(ファブレス)メーカーのパーツを使います。コンポーネントって言っても良いくらいですね。

その「Velo ORANGE」ですが、はじめはてっきりカリフォルニアかどこか、西海岸にあると思ってました。実はアナポリスにありました。

ウェブサイトやブログを読んで「フランスかぶれっぽいところなどは西海岸と違うかなぁ?」と思ったり…… 東海岸のバイク・カルチャーってどんな感じなんでしょうね? NYCのメッセンジャーなどは良く紹介されますが、アナポリスって言われても海軍兵学校くらいしか思い浮かびません(笑)

米国のバイク・カルチャーと言えばサンフランシスコ・ベイエリアなどの西海岸を思い浮かべませんか?

ベイエリアには、日本でも良く知られる「MASH」のようなショップや、「Soma」や「Rivendell」のようなクールな自転車を作る(ファブレス)メーカーがあり、サンフランシスコ郊外には「White Industries」や、少し離れるみたいだけど「Paul」などのパーツメーカーもある。

ほかにもカリフォルニアには「Selle Anatomica」や「Phil Wood」があり、「Ritchey」がネバダ、「Chris King」や「PDW」のあるポートランドオレゴン、シアトルには「Compass Bicycles」……

でも考えてみれば東海岸には東海岸のバイク・カルチャーがあっておかしくない。っていうか、あって当然(東海岸の人に失礼ですね)。

今はすっかり放置しているはてなダイアリー、で志賀直哉の「自転車」という随筆について書いたとき、志賀直哉の乗っていた自転車がどんなのか知りたくなってググって探したことがあります。

志賀直哉の自転車は特定できませんでしたが、明治の頃、特に1890年代の米国は「bicycle craze」と言われる自転車ブームに沸き、英国やフランスを凌ぐ自転車大国だったということを知りました。

志賀直哉の自転車は、これじゃないかなぁ?」と思う自転車がふたつあります。ひとつが「Columbia Bicycle」と言う自転車で、もうひとつが「Victor "Flyer"」と言う自転車です。

「Columbia Bicycle」を作っていた「Pope Manufacturing Company」は1878年に、「Victor "Flyer"」を作っていた「Overman Wheel Company」は1882年に、ともにマサチューセッツで創業しています。また「bicycle craze」さなかの1895年には、かの「Schwinn」がシカゴで創業しています。

今も、マサチューセッツ州の隣のコネチカット州には「cannondale」が、シカゴ(イリノイ)の隣のウィスコンシンには「Trek」が、その隣のミネソタには「Surly」や「Salsa」の「QBP」などがあるので、バイクカルチャーは地域ごとに根付いているとして、バイク「ビジネス」の中心は、やはり東海岸やグレートレイクス周辺なのかもしれませんね。