京都自転車日記

夏目漱石に「自転車日記」という小文があります。畏れ多いと自覚しつつブログのタイトルに拝借しました。京都市街は東西にも南北にも約10Km、自転車サイズの街です。美しい山々が街を囲み、その向こうには趣きのある山里や山寺が点在し、サイクリングコースに事欠くことはありません。 恵まれた環境が独特の自転車文化を育み、個性的な自転車屋さんや自転車愛好家が集まるお店がたくさんあります。 そんな京都の自転車事情を全国の自転車愛好家に紹介できたら良いな、と思っています。

サイクリングレポート:花背 大悲山峰定寺

朝早く起きることができたら自転車で遠出をしようと思っていたのに、予想通り寝過ごしました。しかしこんなに良い天気、やはり乗らずにはすまされない。どこに行こうか思案する間ももったいないので、とりあえず花背峠を目指しました。

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水も補給食も持たずに飛び出したので、花背峠を越えてすぐ花背別所町の「カウベル」で昼ごはんにしました。だしてもらったコップの水を一気に飲み干し、店の人を驚かしてしまいました。

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いつものように周山に抜けてもつまらないので、久しぶりに花背の奥まで足を伸ばしました。大布施町、八桝町を通って花背のいちばん奥の原地町まで。花背峠の登りでは汗をかきましたが、このあたりまでくると風は肌寒い。でも日差しが暖かく快適でした。

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原地町から東に入って峰定寺の門前まで来てみたら、土曜なのにひとりの参拝客も見当たりません。ならば舞台造の本堂を独り占めにしてやろうと、久しぶりに参拝してゆくことにしました。

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峰定寺の本堂は、清水寺の本堂と同じ崖からせり出した舞台造です。高い山の途中にあるので舞台からの眺めは清水寺を凌くと思います。怖いくらいに迫力満点。高所恐怖症の人は無理です。絶対。

独り占めの舞台は最高でした。境内は、カメラや携帯電話の持ち込みが禁止されているので、写真はこの仁王門までです。

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大悲山峰定寺、一見の価値はある寺ですが、いつ来ても人が少ない。と言うより人がいない。

昔は石楠花が有名で、花の季節には大勢の観光客で賑わったそうです。この門前橋周辺にもたくさんの石楠花が自生していたそうですが、現在は影も形もありません。すべて、鹿が食べてしまったそうです。

前回参拝した時に面白い話を伺いました。昔の鹿は山椒を食べなかったのに、近頃の鹿は山椒も食べる。もしかしたら味を覚えて、むしろ好んで食べているのかもしれない、というのです。鹿も生きてゆくために進化するんですね。

舞台でのんびりしていたら良い時間になってしまったので、サイクリングはここまで。来た道を大布施町まで引き返し、周山に抜けて帰りました。まぁ、楽しいサイクリングでした。